旧暦とは？新暦との違いや意味、現在の使われ方を解説

現在、日本社会では新暦（太陽暦）が正式に使用されているものの、明治5年（1872年）以前は旧暦にならって暮らしていました。

月の巡りを基にした旧暦は、日本の気候風土や農業と密接に結びついており、今でも年中行事や地域の祭事などで活用されています。旧暦を知ることで、日本の風習や季節の移ろいをより感じることもできるでしょう。

この記事では、そんな旧暦の基本的な知識から新暦との違い、現在の使われ方まで解説します。

旧暦について

太陽暦への改暦が行われるまで、旧暦は当時の生活や伝統行事の基盤として長く用いられていました。
まずは、旧暦の意味や新暦との違いについてわかりやすく説明します。

旧暦の意味

旧暦（太陰太陽暦）とは、新月から次の新月までの周期29.5日を1か月とする太陰暦に太陽の周期を取り入れた暦法です。

太陰暦では12か月が約354日となり、地球の公転周期と11日ほどずれが生じてしまいます。そのため、旧暦では数年ごとに1か月（閏月）を追加してずれを調整していました。
さらに暦と季節のずれを補正する目安として、大寒や立春などのように1年間の季節を24に区切る「二十四節気」や、日本独自の暦日である「雑節」もあわせて用いられました。

二十四節気については、以下のコラムで紹介していますのであわせてご参考ください。

旧暦と新暦の比較

旧暦と新暦は、どちらも日付をあらわす暦であるものの、基準とする周期が異なります。

先述のとおり、旧暦は「月の満ち欠け」を基にしています。
とはいえ、29日または30日の月をほぼ交互に繰り返す太陰暦では1年が短く、徐々に季節がずれていきます。そのため、2〜3年ごとに13か月の年を作ってずれを修正していました。

対して新暦（太陽暦）は、「地球が太陽を一周する期間（約365日）」を基にして、1年間を12か月に分割するのが特徴です。
ただし正確には、一周は365.24219日かかるため、新暦では4年ごとに閏日（2月29日）を設けています。

明治5年まで日本では旧暦が採用されていたものの、文明開化の一環として、同年12月3日を新暦の明治6年1月1日とし、太陽暦への切り替えが行われました。

旧暦から新暦に変わった理由

諸説あるものの、新暦に変わった理由としては以下の背景があったとされています。

• 日本の近代化政策
• 明治政府の財政問題

明治時代、日本が近代化を進めていく1つとして実施されたのが「改暦」です。
新暦を採用することで、西洋諸国との日付の誤差を解消し、外交を強化するのが目的でした。

また改暦には、明治政府の深刻な財政問題もあったといわれています。
従来の旧暦だと明治6年は閏年のため、役人に給与を13か月分払わなければなりませんでした。新暦を導入することで閏月をなくし、役人への給与支給を抑えるという節約策を図ったのです。

このように、改暦は単なる日付の修正ではなく、国際化への対応や国内の財政再建などを目的とした明治政府による大規模な改革でした。

旧暦は現在も使われているのか

旧暦は、日常生活では現在あまり使われていないものの、一部の行事や地域では今なお活用されています。

例えばひな祭りや端午の節句、七夕といった季節の行事がその代表です。
また沖縄や奄美地方では、旧正月や旧盆など、旧暦に基づいた伝統行事が依然として盛んに行われています。

そのほか、旧暦の季節や行事に合わせて名付けられた、睦月や如月などの「和風月名」や月ごとに咲く花を配した「花暦」もあります。

改暦から100年以上経った今でも、旧暦に由来する文化やならわしは少なくありません。「時の流れを知る」もう1つの基準として、旧暦にも少し注目してみてはいかがでしょうか。

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